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職場だけではない!!個人としての生産性を再定義する

  • 執筆者の写真: 李 群 ( Qun Li )
    李 群 ( Qun Li )
  • 2024年12月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年12月3日




生産性という言葉は、新聞やテレビのマスコミだけでなく、政府、社会、企業レベルでもよく取り上げられるホットな言葉の一つです。一般的な生産性は、「生産性=産出量/労働時間」で表されます。経済学では、企業や国の生産性は経済成長や競争力の重要な指標とされ、同じ量の資源でより多くの付加価値を生み出すことが高い生産性とされます。


生産性の主語が「国」の場合、国全体の生産性はGDP(国内総生産)や国民の生活水準に直接影響を与えます。しかし、主語が「人」の場合は、その生産性は多くの場合、職場で生み出される付加価値でのみ測られます。ただし、私たち「人間」の居場所は職場だけではありません。「人」の生産性が単に職場という狭い世界でしか評価されないことには違和感があります。専業主婦の生産性が正しく評価されていない事実も、この狭義的な生産性の定義と関係しています。


近年、GDP(国内総生産)だけでは社会に生きる一人ひとりの幸せ度合い(ウェルビーイング)を捉えきれないことが明らかになり、GDW(国内総充実、Gross Domestic Well-being)という新しい社会のあり方を測定する指標が作り出されています。GDPは国、企業などが生産した物質的な成果に焦点を当てていますが、GDWは社会の主役である「人」が実感できる豊かさに焦点を当てています。


社会の主役である「人」は週に40時間(8時間×5日)を職場で過ごし、その約3倍の128時間(24時間×7日 - 40時間)を職場以外の場所で過ごしています。「個人の生産性」を総合的に測るには、そこで過ごす時間と作り出す付加価値も測る必要があります。


個人は、生涯にわたって、家族、属する組織やコミュニティなどの社会的な組織と様々な関係性を持ち、関わりながら生きていきます。「個人」が作り出した付加価値は以下の観点から、総合的に測られるべきです。


人生に対して: 自分自身の成長や幸福感、目標達成の度合いなどを通じて、どれだけの付加価値を生み出しているか。


大切にしている人々に対して: 家族や友人、同僚等に対して、どれだけのサポートやポジティブな影響を与えているか。つまり、彼らのウェルビーイングへの貢献度。


大切にしている組織やコミュニティに対して: 所属する組織(会社等)や地域社会に対して、どれだけの付加価値を仕事やボランティア活動等を通じて提供しているか。


このように、「個人の生産性」は単なる業務効率だけではなく、自分と周囲の人々、そして所属する組織やコミュニティ全体に対する総合的な付加価値と定義すべきです。この考え方が社会全般に広まれば、オフィスでの無駄な残業や家庭を顧みない働き方、コミュニティ活動に無関心な態度も改善され、人々の総合的な生産性が最大限に発揮されることで、ウェルビーイングの高い社会が実現されると信じています。



 
 
 

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